親の介護への不安をひとりで抱え込まない対処法3つと介護サービスの紹介
親の介護が近づいて不安を感じている人の中には「ひとりで介護できるだろうか」「経済的には大丈夫だろうか」といった悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
「介護」と聞くと、体力的、精神的、金銭的な不安が心配事として出てきます。
しかし、介護はひとりで全てするものではありません。
地域包括支援センターや介護サービスといった、サポートしてくれる機関や制度も存在しています。
本記事では、介護にまつわる「体力的な不安」「精神的な不安」「金銭的な不安」とその対処法を合わせてお伝えします。
また、「親の介護が始まる前に考えておきたいこと」「介護が始まったら利用できる介護サービス」についてもお伝えしますので、実際の介護が始まる前の準備に役立ててみてください。
Contents
親の介護に感じる不安とその対処法3つ
ひとりで親の介護をしていこうと考えている人にとって、以下の3つの悩みは大きくのしかかってきているのではないでしょうか。
①体力的な不安
②精神的な不安
③金銭的な不安
これらの悩みを軽くするためには、それぞれの不安を具体化して、取りうる対処法をあらかじめ考えておくことが大切です。
それでは、3つの不安の中身と、取りうる対処法を考えていきましょう。
①体力的な不安とその対処法
介護は、親の身体能力の低下や認知症の症状などによって、親がひとりで日常生活を送ることが難しくなったときに始まります。
そうすると介護者は、日々の買い物や食事の用意、掃除などを手伝う必要があります。
また、症状が重くなると、入浴や排泄などの介助も必要になってきます。
介護者も、自分の生活をしながら親の介護をしていくということを考えると、体力的に厳しくなってくるのは当然といえます。
そうした体力的な不安に対する対処法には以下の2つが挙げられます。
・介護の専門機関に頼ること
・介護サービスを利用すること
まず、地域包括支援センターのような介護の専門機関に頼りましょう。
先述した通り、介護はひとりだけで頑張れるものではありません。
地域包括支援センターのケアマネージャーなど、介護の専門家の手を借りながら介護をしていくことで、介護の知識やサポートを得ていくことができます。
地域包括支援センターは現在全国に支所を含めると7,362ヶ所あり、あなたの最寄りにもきっと設置されているはずです。
検索で「地名+地域包括支援センター」と検索してみるか、以下のサイトで調べてみてください。
参考:厚生労働省「地域包括支援センターの全国一覧(ページ中ほど)」
次に「介護サービスの利用」です。
介護サービスには、家に訪問して介護をしてくれる訪問介護や、一時的に施設で預かってくれる通所介護(デイサービス)、ショートステイのようなものがあります。
そういった介護サービスをうまく使うことができれば、あなた自身の体力を回復させながら介護を続けていくことができるでしょう。
ちなみに、先ほど紹介した地域包括支援センターの職員は、その地域の介護サービス全般に関する知識を持っています。ぜひ相談してみてください。
介護サービスについてより詳しくは、後述の「押さえておきたい、利用できる介護サービス4つ」で解説しています。
②精神的な不安とその対処法
介護には、体力的な不安もありますが、介護が必要になった親との関係性や介護ストレスからくる精神的な不安もあります。
特に、介護する相手に認知症の症状がある場合、こちらの気持ちや思いやりが通じず、つらい思いをすることも少なくありません。
また、介護をひとりで抱え込んでしまうと、介護に関する悩みや困りごとを相談できる相手がおらず、精神的な不安が解消できないこともあります。
こうした精神的な不安に対する対処法には以下のようなものが考えられます。
・信頼できる人、介護知識のある人に相談する
・短くとも、自分の時間を確保するようにする
まず、先ほどもお伝えした地域包括支援センターにいる職員のような、介護に関する知識と経験を持つ人に相談してみることが大切です。
ひとりで抱えていると、悩みや不安が際限なく大きくなってしまうことがあります。
そうなる前に、信頼できそうな人に少しずつ悩みや不安を相談してみて、自分の心の整理をしてみましょう。
認知症やこころのつらさに関する相談窓口には、以下のようなものもあります。
参考:厚生労働省「認知症に関する相談先」
参考:厚生労働省「まもろうよ こころ」
次に「短くとも自分の時間を持つ」ということも大切です。
介護をしていると、どうしても親のことにかかりきりになり、自分のことが後回しになりがちです。
しかしあなた自身が健康でなければ、介護を続けていくことはできません。
気持ちの余裕を持って親に接していくためにも、一日の内に2分でも3分でも、外で深呼吸したり、自分の好きな香りを嗅いだり、親よりも自分を優先する時間を確保してみてください。
介護は頑張りすぎないことが大切です。
自分の時間を持つ、ということについてより詳しくは以下のページの「精神的疲れへの対処法」を参照ください。
参考:GOCHOKI「介護疲れが取れないとお悩みの方へ|介護疲れの原因と対処法を解説」
また、「介護を頑張りすぎない(介護者も休息する)」ということについてより詳しくは、以下のページの「外出できない方こそ大切にしたい、介護の休息(レスパイトケア)の重要性」をご覧ください。
参考:GOCHOKI「在宅介護のために外出できない介護者の方へ|利用できるサービス5選」
③金銭的な不安とその対処法
介護の悩みの大きな部分に、金銭的な不安がある方は多いのではないでしょうか。
介護にかかるサービスには介護保険が適用されるといっても、1〜3割ほどの自己負担をする必要があります。
また、食事や掃除、洗濯、オムツなど、日常生活のさまざまな場面でお金は必要になってきます。
そういった介護にまつわる金銭的負担を軽減させる対処法として、多くの自治体に以下のような補助金、助成金制度があります。
こうした制度の存在を知ることで、介護の金銭的な不安を少し軽減することができるでしょう。
・家族介護慰労金
・在宅介護に伴う住宅改修の補助
・福祉用具の貸与
・福祉用具の購入
◆家族介護慰労金
要介護4、5の要介護者を介護サービスを利用せず在宅介護している方に、年額10万円を支給。
参考:
新宿区「家族介護慰労金」
大阪市「家族介護慰労金」
◆在宅介護に伴う住宅改修の補助
最大20万円を基準に、住宅改修にかかった費用の9割を補助。
改修に20万円かかった場合には、18万円が支給される。
参考:厚生労働省「介護保険における住宅改修」
◆福祉用具の貸与
福祉用具の貸与に係る費用について、1〜3割負担での利用が可能。
参考:厚生労働省「福祉用具貸与」
◆福祉用具の購入
利用者がいったん全額を支払った後、費用の7〜9割が払い戻される。
同一年度に10万円まで購入可能。
参考:厚生労働省「特定福祉用具販売」
また、後述する「親の介護が始まる前に考えておきたいこと」の中の「親から希望を聞き取っておく」でも解説しますが、親から金銭面のことをあらかじめ聞いておくことは、介護の金銭的な計画を立てていくためにも非常に大切になります。
親の介護が始まる前に考えておきたいこと3つ
親の介護が始まる前に不安を増幅させないために、あらかじめ考えておきたいこととして以下が挙げられます。
①ひとりで抱え込もうとしなくてよい
②できるだけ正しい情報を集めておく
③介護が始まる前に、親から希望を聞き取っておく
親の介護への不安を和らげるために、それぞれの具体的な内容について解説します。
①ひとりで抱え込もうとしなくてよい
介護において何よりも大切なことは「ひとりで抱え込まない」ということです。
ここまでにも紹介した地域包括支援センターなど、お住まいの地域で介護について相談できる場所と繋がっておきましょう。
事前に相談しておくことで、実際に介護が始まったとき慌てずに対処することができます。
あなたの地域で介護をしていくときに、どういったサービスが利用できるのか、どのように介護に対処していけばよいのか、あらかじめ相談しておきましょう。
参考:厚生労働省「地域包括支援センターの全国一覧(ページ中ほど)」
②正しい情報を集めておく
現在、介護に関するさまざまな情報があふれています。
それらの中には、介護に関する不安を煽るような内容のものも含まれているでしょう。
しかし、そういった情報に惑わされることなく、できるだけ正しい情報を多く集めておくことが大切です。
そのためにも、地域包括支援センターのような介護の専門機関に相談し、介護の知識や対処法を学んでおきましょう。
ちなみに、介護が始まったらやるべきことには下記の4つがあります。
①地域包括支援センターか自治体の介護保険課に相談する
②主治医、かかりつけ医に相談する
③要介護認定の申請を行う
④介護サービスの利用のために、ケアプランを作成する
参考:GOCHOKI「介護が始まったらやるべきことは?介護保険サービスの申請、相談窓口、費用について解説」
こうした実際的な知識を持っておき、介護が始まった後もできるだけ冷静に動けるよう準備しておきましょう。
親から希望を聞き取っておく
そして、介護が始まる前にできるだけ早く聞き取っておきたいのが「親自身の希望」です。
「どんなふうに過ごしたいか」「介護が始まったらどうしてほしいと思っているか」「生活の中でのこだわりにはどのようなものがあるか」など、介護の方向性に関わる事項をできるだけ多く聞き取っておきましょう。
また、話題にしにくいことですが、「金銭面(貯金、口座、借金など)」「終活(どのように最後を迎えたいか)」といったことも聞き取っておくことが大切です。
金銭面について聞き取っておくことで、その後の介護計画が立てやすくなります。
また最後の迎え方の希望を知っておくことで、介護の進め方や看取りの際にできるだけ後悔がないようにすることができます。
押さえておきたい、利用できる介護サービス4つ
あなたの親が住んでいる地域で利用できる介護サービスについては、基本的には地域包括支援センターのケアマネージャーが教えてくれます。
そこでここでは、介護における体力的、精神的負担の軽減に繋がりやすい介護サービスを4つお伝えします。
◆訪問介護(ホームヘルプ)
訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者のお宅を訪問し、食事・排泄・入浴などの介護(身体介護)や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活援助を行う。
◆通所介護(デイサービス)
送迎サービスを利用しながら、利用者が通所介護の施設(デイサービスセンターなど)に日中通う。
通所介護の施設では、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練、口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供する。
(利用者がデイサービスで過ごしている間、介護者は自分ひとりの時間を持つことができる)
◆短期入所生活介護(ショートステイ)
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などが、常に介護が必要な方の短期間入所を受け入れ、入浴や食事などの日常生活上の支援や機能訓練などを提供する。
連続利用日数は最大30日まで。
(利用者が施設で過ごしている間、介護者は自分ひとりの時間を持つことができる)
また、介護保険が適用されるものではありませんが、「訪問美容」というサービスも存在します。
訪問美容では、介護が必要になり自力での外出が難しくなった方のもとに、プロの美容師が訪問してカットやカラーを行ってくれるサービスです。
このサービスは、条件を満たせば介護者のカットも合わせてお願いすることができます。
訪問美容について詳しくはこちら「【訪問美容】介護が必要な方向けの散髪サービス|利用料金、使い方」をご覧ください。
まとめ
ここまで、介護にまつわる「体力的な不安、精神的な不安、金銭的な不安とその対処法」、「親の介護が始まる前に考えておきたいこと」「介護が始まったら利用できる介護サービス」について紹介しました。
親の介護が始まる前には、親の希望を聞き取ることや、介護の専門機関である地域包括支援センターに事前に相談することが非常に大切です。
また、記事中で紹介したように、訪問介護、通所介護、ショートステイ、訪問美容など、あなたの介護をサポートしてくれるサービスはたくさんあります。
この記事が、あなたの介護への不安を軽減する助けになれば幸いです。
当サイト「GOCHOKI」では、介護サービスのひとつとしてご紹介した「訪問美容」に関する内容の記事を多数掲載しています。
訪問美容に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。