提案力ある美容師になるためには?リピートしてもらえる伝え方のポイント3つ
美容師が接客をしていて悩むポイントのひとつに「提案力」があります。
「提案したいけど、うまい提案方法が思いつかない」「がんばって提案したけれど、お客様の反応があまりよくなかった」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
適切な提案を行うことができれば、お客様に喜んでもらい、その結果として売上や指名を伸ばしていくことができます。
ここでは、よい提案を行うためのポイントである「要望の把握」と「伝え方」を中心に解説していきます。
また、提案のNGパターンとOKパターンに分けて、具体的な提案例もお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
美容師がよい提案を行うためには「要望の把握」と「伝え方」が大切
よい提案を行うためにはひとりよがりではいけません。
お客様の要望を適切に把握した上で、説得力、安心感のある伝え方をしていく必要があります。
ここでは、一番はじめに「お客様の要望の把握」について述べた後、「伝え方のポイント」について3点解説します。
前提:お客様の要望を適切に把握する
新規のお客様が来られたときは、お客様の言葉はもちろんですが、動作にも意識を向けましょう。
悩んでいる箇所、改善したい箇所がはっきりしているお客様であれば、それを言葉で説明してくださるでしょうから、その場合には要望を丁寧に聞き取ることが大切です。
一方、悩んでいる箇所がはっきりとわかっていないお客様の場合、どういった要望があるかお聞きしても「そうですね…どうしようかな」と言葉が出てこないときがあります。
しかしその時、毛先を触りながら悩んでいれば、毛先のダメージが気になっているのかもしれないと推測できます。
また、鏡を見ながらトップを触っている場合、トップのボリューム感を出したいと思っているのかもしれません。
このように、動作からお客様の悩みを推測していくことができます。
ただあくまで推測なので、その後「もしかしたら、毛先のダメージにお悩みですか?」「トップのボリューム感、もう少しあってもよいですかね?」と聞いて確認しましょう。
また、お客様に問いかけるとき・話しかけるときは、お客様の声のトーン、スピードに合わせることが大切です。
トーン、スピード感を合わせることで「自分の話を丁寧に聞いてくれている」という感覚が生まれ、安心感を持って会話を進めていくことができます。
伝え方①:3つの大事なポイントを伝える
一番最初のカウンセリングを終えて、お客様の要望や髪質について把握すると、
「この髪質とダメージの出方だったら、あの商品がいいかもしれない」
「あの施術がこのお客様には向いていそうだ」
と、いくつかの提案が思い浮かんでくると思います。
しかしその提案をする際にいきなり、「この商品がオススメなんですけど」と伝えてはいけません。
お客様には押し売りに感じられるでしょう。
お客様が提案内容を聞いて納得するためには、以下の3つのポイントを押さえてお話しすることが大切です。
1.問題点:現在、どこが問題点となっているか
2.必要性:提案する商品や施術は何のために必要なのか
3.改善予想:提案する商品や施術によって、問題点がどのくらいの期間で、どのように改善されていくのか
この3つを伝えることで、お客様自身が提案の中身と意味を理解して判断することができるようになります。
「この美容師さん、積極的に提案してくれるけど、なんだかよくわからない」となってしまっては、なかなかリピートには繋がりません。
目の前のお客様に理解してもらいやすい形に工夫しながら、上記3点を伝えるようにしましょう。
伝え方②:具体的に伝える
目の前のお客様に理解してもらうためにまず行いたい工夫として「具体性を高める」という方法があります。
伝え方①のところで「必要性:提案する商品や施術は何のために必要なのか」を伝えるとよいとお伝えしました。
ですがもちろん、髪質がどう改善されるか、カラーの色味がどう変わっていくかといった説明には専門的な知識が絡んできます。
専門的な知識を言葉だけで説明されても、多くの場合なかなか理解できません。
そこで「傷んでいる場所をスマホで撮る」「髪質改善の過程が分かる図解を用いる」「カラー見本を用いる」など、視覚的に分かる方法で説明していくことをオススメします。
もちろんその際、専門的な知識や用語をできるだけ分かりやすい言葉に置き換えながら話すことも大切です。
伝え方③:ゆっくり、丁寧に伝える
3つ目はすぐに実践できるポイントです。
同じ説明をされていても、まくし立てるように話す人やブツブツ小声で話す人の説明には、分かりづらさや不安を覚えるのではないでしょうか。
美容師として提案を行う際には、お客様の声のトーンやスピードに合わせた上で「ゆっくり、丁寧に伝える」意識を常に持っておくことが大切です。
美容知識のことになると、自分が好きな分野でもあるため早口になる美容師さんもいらっしゃいます。
ですがそこはグッとこらえ、お客様の目線、反応をよく確認しながら、相手が余裕を持って理解できるスピードで話すようにしましょう。
美容師提案のNGパターンとOKパターン|髪の傷み改善
ここまで、よい提案を行うために押さえておきたいポイントを解説しました。
ここで改めて、良くない提案パターンとよい提案パターンの例を見ていきましょう。
どちらも「髪の傷みがひどく、適したトリートメントの提案をしたい」という状況を想定しています。
NGパターン
<NGな提案例1>
美容師:髪、すごく傷んでますね。トリートメントしませんか?
<NGな提案例2>
美容師:髪質がとっても改善されるトリートメントがあるんですよ。試してみませんか?
<NGな提案例3>
美容師:カラーするならトリートメントしなきゃですね。それで大丈夫ですか?
上記のような提案は、先述の『よい提案を行うためには「要望の把握」と「伝え方」が大切』で伝えたポイントが押さえられていません。
現在の髪質の問題点やトリートメントの必要性もわからないままでは、お客様は納得してくれないでしょう。
もしこのような提案を続けていると「あの美容室は押し売りしてくる」というイメージにも繋がりかねません。
OKパターン
<OKな提案例>
美容師:毛先の方、少し傷んでるようですね。ちょっと気になってますか?
お客様:そうなんですよ。最近気になるようになってきて…。
美容師:少し見せてもらいますね。…なるほど、この傷み方だったら、髪の成分を補修してくれるトリートメントを使えば数ヶ月ほどで改善できるかなと思います。ご興味ありますか?
お客様:興味あります。けど、どんなトリートメントですか?
美容師:こちらのトリートメントです。このトリートメントは傷んでいる部分に〜〜という成分を使って補修していく機能があります(図解しながら説明する)。髪質が改善されたら、髪のハリも復活しますし、パーマやカラーも綺麗に入るようになりますよ。
お客様:いいですね。でもすぐに買うのはちょっと…。
美容師:それはそうですよね…。もしよければ、今日のシャンプーのときにお試しいただけますけど、どうですか?
お客様:あ、そうなんですね。じゃあ一度お試ししてみたいです。
この提案では、先述の『よい提案を行うためには「要望の把握」と「伝え方」が大切』でお伝えした以下の要素が会話の中に散りばめられています。
<よい提案を行うために必要な要素>
前提.要望の把握
1.問題点:現在、どこが問題点となっているか
2.必要性:提案する商品や施術は何のために必要なのか
3.改善予想:提案する商品や施術によって、問題点がどのくらいの期間で、どのように改善されていくのか
提案を行う際、大切なことはお客様自身に納得して判断してもらうことです。
そのためにも、上記の要素を押さえ、信頼関係の中で提案ができるようになっていきましょう。
美容師が提案がうまくいかなかったときにするべきこと
よい提案のために頑張ってはいても、いつも上手くいくわけではありません。
「お客様に上手く伝えられなかった」
「押し売りのように感じられてしまった」
など、提案が上手くいかなかったときには、カルテに改善点や反省点を書き留めて、次回に活かすようにしましょう。
特に
「提案内容がお客様の要望に沿っていたか」
「伝え方はゆっくり丁寧だったか」
「お客様にこちらの言葉が伝わっていたか」
「説明に不十分なところはなかったか」
という点は重点的に確認しておきましょう。
顧客層を変える「訪問美容」という選択肢もある
提案力に悩んでいる美容師の中には、幅広い年齢層のお客様とのコミュニケーションより、高齢の方とのコミュニケーションが得意という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そういった場合「訪問美容師として働く」という選択肢も考えられます。
訪問美容師は、高齢の方を中心に怪我をしている方、妊産婦さん、育児中の方など「美容室に行きたくても行けない方」に対して美容施術をする働き方です。
美容師が自宅や施設、病院に直接訪問して施術(カットやカラー等)を提供するので「訪問美容」と呼ばれます。
この訪問美容ではお客様のほとんどが高齢の方になるので、高齢の方とのコミュニケーションが好きな方や介護の知識がある方には向いている美容師業のひとつです。
訪問美容についてより詳しく知りたい方は、以下のコラムをご覧ください。
→ 訪問美容を始める美容室オーナー様へ|仕事内容やメリットを紹介
→ 訪問美容の「魅力」と「やりがい」とは?訪問美容師にはどんな人が向いている?
まとめ
ここまで、提案力ある美容師になるために必要なポイント、提案のNGパターン、OKパターンをお伝えしました。
よい提案をするためには何よりもまず、お客様の要望を把握すること、そして、具体性の高い丁寧な伝え方をすることが大切です。
ただ、提案を上手く伝えられるかどうかには、お客様との相性も関わってきます。
本コラムの最後では、高齢の方とのコミュニケーションが得意な方向けに「訪問美容」という働き方も紹介しました。
当サイト「GOCHOKI」では、訪問美容に興味がある美容師の方に役立つ内容の記事を多数掲載しています。
訪問美容についてご興味のある方は、ぜひ参考にしてください。