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面貸しと業務委託の違い!フリーランス美容師の働き方や給与相場

2024.01.26

面貸しと業務委託の違い!フリーランス美容師の働き方や給与相場

キャリアを積んでいくなか「美容師としてどう働くか」を考える上で、まず出てくるのは、引き続き正社員やパートタイム、アルバイトといった働き方で働くのか、それとも独立し自分の美容室を持つのか、という選択肢ではないでしょうか。

ですが、最近はそれ以外の選択肢も増えてきています。
その中でもよく聞く働き方が「面貸し」「業務委託」です。

フリーランスの働き方として耳にすることが多いこの2つの言葉ですが、実はそれぞれで意外と大きな違いがあります。

ここでは「面貸しと業務委託の違い」「それぞれの働き方のメリット・デメリット」をお伝えします。

また「どういった人が面貸しの働き方に向いているか」「どういった人が業務委託の働き方に向いているか」も合わせてお伝えしますので、キャリアを考えるときの参考にしてみてください。

Contents

美容師の働き方:面貸しと業務委託の違い

面貸しと業務委託の違い!フリーランス美容師の働き方や給与相場

まず先にお伝えしておきたいのは、面貸しも業務委託もフリーランス(個人事業主)の働き方である点です。

どちらも社員などとして美容室に雇われるのではなく、フリーランスの立場として働くことになります。

その上で、それぞれの働き方がどう違うかを具体的に見ていきましょう。

面貸しの働き方

面貸しは、「面を貸してもらう」という言葉通り、美容室のスペースを一部借りて美容サービスを提供する働き方です。

具体的には、以下のような流れで働くことになります。

1、面貸しをしている美容室に登録する
2、(個人の力で)お客様を獲得し、予約をもらう
3、登録した美容室にスペースの使用予約を入れる
4、予約した時間に美容室に行き、スペースを借りて、お客様に施術する
5、面貸し料(スペースの使用料金)を美容室に支払う

業務委託の働き方

業務委託は、面貸しと違い、「美容室についているお客様」の施術を代わりに担当する働き方です。

具体的には、以下のような流れで働くことになります。

1、業務委託をしている美容室と契約
2、その美容室に出勤できる日時を決め、美容室オーナーに連絡する
3、出勤日に美容室に行き、業務委託でお願いされたお客様を施術する
4、売上の一部を業務委託の報酬としてもらう(報酬の割合は契約条件によります)

 

ここまででお伝えしたように、面貸しは自分で集客する必要があり、業務委託は自分で集客する必要がありません。

面貸しと業務委託はそれぞれに多くの違いがありますが、「集客の有無」はかなり大きな違いとして挙げられるでしょう。

面貸しと業務委託の特徴一覧

面貸し業務委託
メリット①自分のペースで働ける
②一人一人のお客様にしっかり向き合える
③少ない資金でフリーランス美容師として独立・開業できる
④一人仕事のため人間関係の問題が起きにくい
①時間の融通がきく
②美容室を掛け持ちできる
③集客を自分で行う必要がない
デメリット①収入が不安定になる可能性がある
②集客を自分で行う必要がある
③トラブルの対応も自分だけでする必要がある
④収支の管理を自分がする必要がある
①収入が不安定になる可能性がある
②独立した実感があまり得られない
給与相場自分が受け取れる報酬65%、お店35%自分が受け取れる報酬40%、お店60%
向いている人・ある程度自分にお客様がついている
・ワークライフバランスを大切にしたい
・お店を持つリスクを背負いたくない
・大きな収入アップを目指したい
・まだ自分にお客様がついていない
・自分で集客や顧客管理をする自信がない
・空き時間に別の仕事を入れたい

次に各項目の具体的な解説をします。

面貸しのメリット4つ

面貸しと業務委託の違い!フリーランス美容師の働き方や給与相場

フリーランス美容師として面貸しで働くメリットには以下の4つがあります。

メリット①自分のペースで働ける

フリーランス美容師全般に言えることですが、特に面貸しで働く美容師は「お客様の予約が入っているときにだけ美容室で施術すればよい」ので、労働時間や休日日数などを自分で調整することができます。

自分にとって無理のない働き方をしたい美容師にとって、自分のペースで働けることは非常に大きなメリットといえるでしょう。

メリット②一人一人のお客様にしっかり向き合える

面貸しでは、お客様は美容室ではなく自分についているので、最初から最後まで責任を持って施術をすることができます。

美容室に所属していると、美容室の都合によって作業担当が入れ替わりつつ施術しなければいけないときがありますが、面貸しの働き方ではそういったことはありません。

メリット③少ない資金でフリーランス美容師として独立・開業できる

美容師として、自分のお店を持って独立・開業するとなると、非常に大きな資金が必要になります。

一般に、美容室を開業するためには、およそ1,000万円〜1,200万円が開業資金として必要といわれています。

その点、面貸しであれば、ずっと少ない資金で独立・開業することが可能です。

「将来自分で美容室を持ちたい」と思っている方であっても、まずは面貸しで働くことで、ある程度経営の経験を積むことができます。

このように、将来お店を持ちたい人にとっても、面貸しはキャリアステップのひとつになるでしょう。

メリット④一人仕事のため人間関係の問題が起きにくい

仕事における悩み事としてよくあるのが「人間関係」です。

美容師も、美容室に雇用されて働いていると、上司や同僚との関係などに悩まされることはよくあります。

その点、面貸しの働き方であれば、長い時間関わるのはほとんどお客様だけです。

フリーランス(個人事業主)として、基本的には一人で仕事を回すことになるので、人間関係のトラブルは感じにくくなるでしょう。

面貸しのデメリット4つ

面貸しと業務委託の違い!フリーランス美容師の働き方や給与相場

一方、面貸しのデメリットには以下の4つが考えられます。

デメリット①収入が不安定になる可能性がある

フリーランスの仕事全般に言えることですが、雇われているときと違い、仕事を自分で取りに行かなければなりません。

たくさんのお客様が予約してくれれば収入は高くなりますが、うまく集客できずお客様からの予約がないときは収入がゼロ、経費を考えるとマイナスになる可能性もあります。

デメリット②集客を自分で行う必要がある

面貸しは、美容室のサポートを得ずに働く働き方です。集客も全て自分で行う必要があります。

なので、面貸しのフリーランスとして働きはじめるときには、ある程度自分に固定のお客様がついてから独立すると安心です。

関連コラム
→ フリーランス美容師の集客方法7つ|成功するために押さえたいポイント

デメリット③トラブルの対応も自分だけでする必要がある

「美容室のサポートがない」ということは、お客様や業者とのトラブル対応も全て自分が行う責任がある、ということです。

もちろん、トラブルは起きないのが一番ですが、万が一トラブルが起きたときのための備え(トラブルへの対応方法、損害賠償保険加入など)をしておく必要があるでしょう。

デメリット④収支の管理を自分がする必要がある

「独立・開業する」ということは、収入だけでなく支出の計算もしていく必要があります。

美容室に雇われて働いているときは、主な仕事は「お客様への施術」ですが、面貸しのフリーランスになるとそれに加えて「経理業務」や「材料の管理」なども仕事に含まれてきます。

フリーランスとしてやっていくためには、売上や経費、材料の在庫などを毎月管理し、翌月、翌年の仕事のやり方を常に考えていく必要があります。

業務委託のメリット3つ

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フリーランスとして業務委託で働くメリットには以下の3つがあります。

メリット①時間の融通がきく

美容室に雇われて働いているときは、美容室の営業日やシフトに合わせて働くしかありません。

ですが、業務委託であれば「自分が勤務できる日にちと時間」を先方に伝えて働けるので、雇われ美容師よりも時間の融通がききます。

とはいえ、あまり自分勝手に働ける日や休む日を決めてしまっては、働いている美容室から「もう来てもらわなくていい」と言われてしまうかもしれませんので、その点には注意が必要です。

メリット②美容室を掛け持ちできる

「複数の美容室で働くことができる」ことは、業務委託の大きなメリットといえるでしょう。

通常、ひとつの美容室に雇われて働いているときは、副業禁止規定や労働時間の縛りなどによって、掛け持ちして働くことは現実的ではありません。

しかし業務委託であれば、もちろん副業禁止規定などはありませんし、「どの美容室に週何日、何時間行くか」を自分で決められるため、複数の美容室を掛け持ちして働くことが可能です。

メリット③集客を自分で行う必要がない

業務委託では、美容室についているお客様を施術することになります。

集客を自分で行わずとも、美容室の方から「このお客様の施術をしてください」と依頼してもらえるので、まだ自分に十分な数のお客様がついていない美容師にとっては「集客の必要がない」ことは大きなメリットといえるでしょう。

業務委託のデメリット2つ

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一方、業務委託のデメリットには以下の2つが考えられます。

デメリット①収入が不安定になる可能性がある

美容室にお客様を紹介してもらって施術する業務委託では、「今週は人手が足りてるから業務委託の依頼がない」と美容室に言われてしまうと、その月の収入がガクンと落ちてしまう可能性があります。

雇われであれば、その月の美容室の売上が良くても悪くても給与は支払われます。
ですが、業務委託だと仕事が少なくなるとその分収入も少なくなってしまいます。

美容室にお客様を案内してもらえるため、面貸しよりは収入が安定しているといえるかもしれませんが、先方の都合によっては急に仕事が減る可能性がある点には注意が必要です。

デメリット②独立した実感があまり得られない

業務委託では「美容室に行き、オーナーが紹介してくれるお客様を担当する」という働き方になります。

この働き方は「独立して自分のお客様を持つ」という独立のイメージとは少し異なるため、人によっては独立した実感があまり得られないかもしれません。

また、経営のために重要な「集客」の経験はあまり得られないので、独立志向の強い方にはあまり向いていないと考えられます。

面貸し、業務委託それぞれの美容師給与相場

面貸しと業務委託では、自分が受け取れる報酬も違います。
一般的には、以下のような割合で収入を受け取れることが多いようです。

面貸しの場合
自分が受け取れる報酬65%、お店35%
(例:40万円売り上げたら、26万円が収入)

業務委託
自分が受け取れる報酬40%、お店60%
(例:40万円売り上げたら、16万円が収入)

面貸しの方が報酬が高いのは「集客を自分でしているから」ということが大きいでしょう。

面貸しに向いている人

面貸しと業務委託の違い!フリーランス美容師の働き方や給与相場

以下のような条件に当てはまる方は面貸しに向いているといえるでしょう。

ある程度自分にお客様がついている

面貸しの大変なところは、自分で集客をしないといけないことです。

なので、もうすでにある程度お客様がついており、自分で集客もしていける、と思える方は面貸しが向いているでしょう。

ワークライフバランスを大切にしたい

「労働時間や休日を、自分で決めたい」「家族の時間を確保したい」といった思いのある方も、面貸しが向いている可能性が高いです。

面貸しであれば、自分でほぼ完全に時間をコントロールできるので「趣味のための時間をちゃんと確保したい」「家族で一緒にいる時間を確保したい」という場合にも対応できるでしょう。

お店を持つリスクを背負いたくない

面貸しは、実店舗を持たない独立・開業になるので、お店を持つリスクは発生しません。

「独立はしたいけど、実店舗が持ちたいわけじゃない」という方には、この面貸しという働き方が適しているでしょう。

大きな収入アップを目指したい

人気のフリーランス美容師になれば、年収800万円、1,000万円もありうると言われています。

雇われ美容師に限界を感じ「自分の力で収入アップさせていきたい」という思いを持っている方にとっては、面貸しは自分の目標を達成するための手段となりうるでしょう。

業務委託に向いている人

面貸しと業務委託の違い!フリーランス美容師の働き方や給与相場

以下のような条件に当てはまる方は、業務委託に向いている可能性が高いです。

まだ自分にお客様がついていない

業務委託では、美容室のお客様を回してもらえるので、自分にお客様がついていない状態でも始めることができます。

自分で集客や顧客管理をする自信がない

業務委託は集客業務を美容室に任せることができます。

なので「自分で集客や顧客管理をすることに不安があるが、フリーランスをやってみたい」という方には適した働き方であるといえるでしょう。

空き時間に別の仕事を入れたい

業務委託は自分で働く日時を調整できるので、何か別の仕事をしていて「空き時間に仕事を入れたい」という美容師に向いています。

また、面貸しの仕事をしながら、空いている時間に業務委託の仕事を入れることもできるので、「まだ面貸しの仕事が少なくて困っている」というフリーランス美容師は業務委託の仕事も検討してみるとよいでしょう。

面貸し、業務委託以外に「訪問美容」という働き方もある!

面貸しと業務委託の違い!フリーランス美容師の働き方や給与相場

「雇われ美容師じゃない働き方を模索している」という方に紹介したいのが、訪問美容という働き方です。

「訪問美容」とは、高齢や病気、ケガ、妊娠などで美容室に行けない方の自宅や施設に訪問して、美容サービスを提供する働き方です。

対象者の多くが高齢者ということもあり、高齢化が進む日本では今後、ニーズが伸びていく業界であると言われています。

また、「予約が入っている時間だけ、自宅や施設に訪問して働く」という働き方であるため、ここまでに紹介した面貸しや業務委託と同じく、時間の融通はききやすいといえるでしょう。

介護や福祉の知識は必要になってきますが、上記のような働き方に興味のある方は、ぜひ「訪問美容」も選択肢のひとつに考えてみてはいかがでしょうか。

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→ 知っておきたい訪問美容師のメリット・デメリット| 収入の話や活動の始め方も解説

→ 訪問美容師が参考にしたいブログ7選!開業時に役立つ訪問美容コラムも紹介

→ 訪問美容師の開業届の書き方・提出方法まで徹底解説 | その他の必要な手続き・届出も紹介

まとめ

ここまで「面貸しと業務委託の違い」「それぞれの働き方のメリット・デメリット」といったことについてお伝えしました。

また、それぞれの仕事の特徴から「どういった人が面貸しの働き方に向いているか」「どういった人が業務委託の働き方に向いているか」についてもお話いたしました。

「どんな働き方が自分に合っているのだろう」と考える時に、面貸しや業務委託など、それぞれの働き方を詳しく知ることはとても大切です。

最後に紹介した「訪問美容」も、雇われ美容師以外の選択肢のひとつとして検討してみるとよいでしょう。

この記事が、あなたのキャリアステップを考える際の参考になれば幸いです。

当サイト「GOCHOKI」では、訪問美容師に関心ある方に役立つ内容の記事を多数掲載しています。訪問美容師に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

→ 訪問美容「GOCHOKI」のお役立ちコラム