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訪問美容師インタビュー Vol.1│お客様の一生に寄り添える美容師でありたい│洞 聡史(ホラ サトシ)さん

2020.11.10


所属スタイリストはすべて「サロンオーナー」という、異色の訪問美容カットサービス「GOCHOKI(ゴーチョキ)」。

今回はGOCHOKIスタイリストとして訪問美容師の活動をしつつ、大阪府河内長野市のサロン「RAHO-hair design」でオーナーを務める「洞 聡史(ホラ サトシ)」さんにお話をうかがいました。

 

▼スタイリスト略歴:洞 聡史(ホラ サトシ)

良県出身、大阪府羽曳野市の某有名店で長年の店長としての経験を経て、ヘアスタイルでお客様の毎日を幸せにしたいという想いで独立。スタイリスト歴13年。美容室・訪問美容ともに1人1人のお客様との時間を大切にして、お悩みを解決し「綺麗になった実感」や「特別感」の提供を心掛けている。

 

 ▼こんな方に読んでほしい

・訪問美容に関心があるが、行動に移せていない人
・訪問美容の現場を生の声で知りたい人
・サロンオーナーと訪問美容の両立を検討している人
・訪問美容に不安はあるが、いつか挑戦したいという人

 

自分の担当スタイリストに憧れて、いつしか美容師を目指すように

 

————まずは簡単な自己紹介をお願いします。

河内長野市でプライベートサロン「RAHO-hair design」を経営しています、洞といいます。サロン名は僕の名字「洞(HORA)」に由来しています。

6年半前にサロンを立ち上げ、現在はマンツーマンサロンとして個人経営をしています。趣味はバスケットボールやスノーボードなど、体を動かすことが好きです。よろしくお願いします。

 

————ありがとうございます。そもそも洞さんが「美容師を目指したきっかけ・理由」は何だったんでしょうか?

高校生のとき、隣町のヘアサロンで働いていた「スタイリストのお兄さん」に憧れたのがきっかけです。

そのお兄さんっていうのが、もともと地元が同じで「名前だけ知ってるけど喋ったことない」という存在の方で。大阪のミナミで何年か修行した後に、僕の地元の隣町にあるサロンにスタイリストとして戻って来られたんです。

地元がかなりの田舎だったこともあり、隣町のお洒落なサロンやそこで働くお兄さんの姿は、当時すごく輝いて見えたんですよね。フレンドリーな性格でどんな話でも親身に聞いてくれる、そういうところも「かっこいいなあ」と。

その頃から漠然と「将来は美容師・スタイリストを目指そうかな」と、考えるようになりました。

 

————そいうった経緯だったんですね。そして目標通りスタイリストとして経験を積んだ後、サロン「RAHO-hair design」の開業を機に独立されました。サロンを経営しようと思われたきっかけや理由は何だったんでしょうか?

以前に勤めていたのはスタイリストが沢山いるような大型店だったのですが、僕が憧れたお兄さんが働かれていたサロンって、それほど大きなお店ではなかったんですね。

だからこそ「大人数で店を回すような華やかな店舗」より「お客さんとの距離感が近い『密なサロン』」に漠然とした憧れがあったのかもしれません。

もちろんそれだけでなく様々な理由や経緯がありましたが、今から約6年半前に独立して自分の店を開くに至りました。

 

「生涯顧客」という理想を叶えるために、訪問美容師×サロンオーナーという道へ

————そして現在は、ご自身のサロンを経営しつつ訪問美容師としての活動もされていらっしゃいます。洞さんが最初に「訪問美容師」という仕事に関心を持たれたのは、いつ頃だったんですか?

今から約2年前くらいですかね。

現在ほど世間に「訪問美容師」という概念が浸透していない時代に、取引先代理店とGOCHOKIのスタッフさんから”一緒にやりませんか?”と、声をかけていただいたのがきっかけでした。

まだ訪問美容を個人でやられてる方は一握りという時代でしたが、GOCHOKIさんの「これからの美容業界を背負っていきたい」という言葉に心を動かされました。

 

————そういった経緯だったんですね。

はい。ただ最終的に「訪問美容をやろう」と決断した背景には「僕のサロンにきてくれるお客様へ、生涯にわたってサービスを提供し続けたい」という思いがありました。

現在のサロンは小規模だからこそ、お客様と築ける関係も深いです。いま施術させてもらっているお客様は「生涯の顧客」として、これからもずっとお付き合いをしていきたいし、自分も一緒に歳をとっていきたい。

お客さんが歳をとってお店に来るのが難しくなったとしても、訪問美容さえできれば、サービスを提供し続けることができます。僕の目指したい「生涯お付き合いできるサロン」が、訪問美容なら実現できるなと。

 

————とても素敵な理由です。ただ、これまでとまったく勝手の違う「訪問美容」の世界に飛び込むとなると、不安や葛藤があったのでは?

そうですね。もし「自分独りで始める」となったら、ここまで思い切った決断は正直できていなかったかもしれません(笑)

僕の場合は自分だけじゃなく、GOCHOKIのスタッフさんや他のサロンオーナーなど「一緒にやる仲間」がいたので、それが心強かったです。不安は0ではありませんでしたが「訪問美容をはじめること」自体に、それほど迷いはありませんでした。

 

難しいからこそ、魅力とやりがいのある「訪問美容」の世界

車椅子がご自宅にある写真

 

————そして「サロンを経営しながら、訪問美容も手掛ける」という現在の働き方に向けて、下準備が始まったわけですが。訪問美容をはじめるまでに、具体的にどんなことをされましたか?

まずは訪問美容師として活動するための、知識やノウハウを学びました。実際に「訪問美容の現場で活躍しているスタイリストさん」からレクチャーを受けたり、あとは寝たきりや要介護度の高いお客様の施術にも対応できるよう、ヘルパー・介護の勉強をしました。

僕が当初苦戦したのが、例えば「寝たきりのお客様の施術」です。サロンで通常の施術をするのとは、そもそものやり方が180°ちがう。新しい施術をイチから学ぶ感覚でした。「訪問美容ならではの実践的な施術」は事前練習だけではまかなえないので、実際に訪問をはじめてから経験として身についたものも多いです。

 

————なるほど。そうすると、実際に訪問美容をスタートした初期は、苦労も多かったのではありませんか?

そうですね、最初はとにかく「経験不足」に悩まされました。これまでと勝手が違うこともあり、お客様に対して僕の方が身構えてしまうんですよね。そういうのって、自然と相手にも伝わってしまいます。

また施設や病院に訪問した際に悩んだのが「お客様ご本人は希望されていないけれど、施術をしなければいけない」というケースです。そういった訪問美容でしか経験しえない場面に出くわすと、その度に新たな難しさを痛感します。

 

————ありがとうございます。逆に訪問美容を通じて「良かったこと」はありますか?

大変なことが多い分、やりがいを感じる場面も多いことです。

個人宅に訪問して強く感じたのが「本当は髪を切りたい思いはあるのに、何かの理由で美容室の利用を諦めてしまっている」というお客様が想像以上に多いということです。例えば「足が不自由で気軽に出歩けない」であったり、「人目を気にしてサロンに足を運べない」であったりと、様々な理由で美容室を断念している方が多い。

そういったお客様って、施術後に心の底から喜んでくださる方が多い印象があり、カットした僕自身もすごく嬉しい気持ちになるんです。あくまで自分の体感ですが、通常のサロン以上に「訪問するお客様」からは「素直に喜んでくださってる」ことが表情やリアクションでダイレクトに伝わってきます。

だからこそ今後さらに訪問の数も増やして、より多くのお客様に「訪問美容のサービス」を届けたいなと思っています。

 

サロン常連さんの「お母さま」の訪問美容を担当したときは、心から嬉しかった

訪問時の玄関の写真

 

————訪問先のお客様との、思い出に残っているエピソードがあれば教えてください。

サロンによく足を運んでくださる常連さんの、お母さまの訪問カットをしたときのことは今でも印象に残っています。

「母がサロンに行けないことを悩んでいるんです」とおっしゃるので、詳しく事情を聞くと「抗がん剤治療を受けたことで髪質が変わり、外出が難しくなった」「けれど髪は切りたい」とのことだったので、訪問カットも可能な旨をお伝えし後日ご自宅にうかがいました。

実際に訪問して髪をカットさせていただき、施術後にお母さまが「すごくスッキリした。来てくれてありがとうございます」と言って下さいました。もちろんその時も嬉しかったのですが、後日サロンに訪れた常連さんから、改めて「お母さん本当に喜んでましたよ」とお聞きした瞬間が一番嬉しかったです。

訪問美容を通じて、大切なお客様とお客様のご家族にまでお役に立つことができる。心底「やって良かった」という実感が湧きました。

————「担当のお客様を通じて、ご家族にまでサービスを提供する」。心が温かくなるようなエピソードです。

 

洞さんが考える、今後の訪問美容業界とご自身の課題│サロンと変わらないサービスの提供

————洞さんが「今後の課題」として感じていることがあれば教えてください。

「訪問であるが故に、サロンと同じレベルで実現できない施術やサービス」を改善したいという思いがあります。

その1つの事例が「シャンプー」なんですが、当たり前のことですが訪問先でもお客さまによって「シャンプーに求める内容」は異なります。「手早くシャンプーを終わらせてほしい」方もいれば「気持ちよくしっかりと洗ってほしい」方もいる。

ですが今のところ「どちらかに特化した移動式シャンプー台」はあっても「両方をバランスよく兼ね備えていて『これさえあれば大丈夫』」というシャンプー台には出会えていないのが現実です。

 

「メニューの充実」に関しても同様です。

訪問を希望されるお客様の中には「サロンに気軽に足を運べないけれど、おしゃれや美容に関心が強い若者層」の方もいらっしゃいます。そうなると施術もカットだけでなく、サロンに近いクオリティでの「ヘアカラー」や「パーマ」を提供できることが望ましいはず。しかし訪問先で提供できるサービスの種類や内容には、サロンに比べてまだまだ制限があります。

「訪問美容だから限界がある」を前提にするのではなく、サロンと変わらないレベルでサービスを提供できる「道具」や「技術」を備えるというのは、僕だけでなくGOCHOKIさんとの共通の課題だと感じています。

 

サロンオーナー兼、訪問美容師として働く、洞さんの今後の展望と目標とは

 

————「美容師」としての、これからの展望や目標を教えてください。

「生涯顧客」を大事にする、これに尽きます。今のお客様と共に成長し、共に最後を迎えることが僕の体現したい目標です。

きっとこの先GOCHOKIにも「訪問美容に比重を置く方」「サロンと訪問の比重を半々にする方」「サロンをメインに訪問も」など、様々なタイプのスタイリストさんが参入されるかと思います。ちなみに僕の場合は「サロン」に比重を置きつつ「生涯顧客」という目標のために、今後さらに訪問美容にも力を入れていこうという気持ちで臨んでいます。

タイプがどうであれ、自分が今後参入されるスタイリストさん方の「道しるべ」に少しでもなれたらな、と思っています。

 

————最後に「訪問美容師を目指すスタイリストさん」に向けて、ひとことメッセージをお願いします。

まだまだ自分も(訪問美容においては)未熟なので偉そうなことは言えませんが。

「お客様がきれいになるためのお手伝いができる」という「美容師の本質的なやりがい」を、美容師になりたての頃の「初心」に立ち返って感じられる仕事が「訪問美容」かなと思います。

 

————ありがとうございます。ぜひ今後の訪問美容業界を、サロンオーナーという立場から盛り上げていってください!

▼今回はGOCHOKIスタイリストとして訪問美容師の活動をしつつ、大阪府河内長野市のサロン「RAHO-hair design」でオーナーを務める「洞 聡史(ホラ サトシ)」さんにお話をうかがいました。

これから「訪問美容師」としての活動を考えたいスタイリストさんは、ぜひ参考にしていただければ嬉しいです。

 

RAHO-hair design

●住所:大阪府河内長野市西之山町10-28サンライズビル103
●営業時間:9:00-19:00 (金曜9:00-20:00)
※パーマ・カラーのご予約は1時間前まで/18時以降のご予約は前日まで

●定休日:毎週月曜日・第3火曜日 
●TEL:0721-21-6887
●URL:https://raho-hairdesign.com/

 

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