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美容師の休憩時間を見直すには?現場の課題と改善策を解説

2025.05.29

美容師の休憩時間を見直すには?現場の課題と改善策を解説

美容師として働き始めると、「休憩時間がほとんど取れない」と感じる方もいるのではないでしょうか。

忙しい現場では、休憩の確保が課題になることも少なくありません。

この記事では、そうした現状を整理しながら、より良い働き方に向けて休憩時間を見直す方法をご紹介します。

美容師の休憩時間|労働基準法と実態

美容師の休憩時間を見直すには?現場の課題と改善策を解説

まずは、美容師の休憩時間について、法律上はどのように定められているのかを確認しておきましょう。

労働基準法では、労働時間、休憩時間、休日について以下のように定められています。

使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。

使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。

使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。

引用:厚生労働省「労働時間・休日に関する主な制度」

 

すなわち、法律的には「6時間以上の勤務には45分休憩」「8時間以上勤務には1時間休憩」と決められているのです。

しかし、美容師の実態としては「まともに休憩時間が取れない」というサロンも中にはあるでしょう。

法律上、休憩は分割で与えてもよいとされているため「15分休憩×4回」のように細切れで休憩が与えられているケースもあれば、繁忙期には「休憩自体、取っている暇がない」というケースもあります。

このように、美容師の実態としては、休憩時間が取れていないサロンも中にはあるといえるでしょう。

なぜ美容師は休憩時間を取りにくい?4つの理由と背景

美容師の休憩時間を見直すには?現場の課題と改善策を解説

それでは、美容師が休憩時間を取れない理由にはどのようなものがあるのでしょうか?

ここでは、その理由を4つ分析します。

①美容業界の風習

美容業界ではこれまで、休憩時間が短いことが常態化していました。

そのため現在もその風習を引き継いでいて、休憩時間が十分に取れない労働環境のサロンも中にはあるでしょう。

ですが近年は、労働に対する意識が変わってきたこともあり、休憩時間や休日、休暇制度が取りやすいサロンは増えてきています。

②スタッフの数が少ない

スタッフ数が1〜10人ほどのサロンでは、一人当たりの業務負担が大きくなるため、休憩時間が短くなりがちです。

サロンには、施術以外にも事務、清掃、広報など多くの業務があります。

スタッフ数が少ないほど、これらの業務を少人数で分担する必要があり、休憩時間が取りづらい傾向にあります。

③お客様一人当たりにかかる時間が長い

美容師という仕事の中でも特にカラーやパーマは、およそ2〜4時間と施術時間が長くなります。

2トーンやレイヤーなど複雑なものになればなるほど、一人当たりにかかる時間は伸びていきます。

そして、そういった施術を希望するお客様が1日に2〜3組以上いる場合、単純計算で6〜12時間かかってしまいます。

その場合、中には「お客様を1日で回すためには、休憩を減らして施術するしかない」という状況もあるようです。

④営業時間外にも、練習をする必要がある

駆け出しのアシスタントの場合、施術スキルを高めるために「営業時間後に練習をする」「美容師の勉強会、研修会に出る」などに時間を使う必要があります。

そうすると、営業時間後の本来休みの時間も仕事に関することをしなければならなくなるため、営業時間外でもなかなか休憩時間が取れない、という事態に陥りやすいといえます。

パート・アルバイトの美容師に休憩時間はある?

美容師の休憩時間を見直すには?現場の課題と改善策を解説

前述した労働基準法は、パート・アルバイトにも適用されます。

つまり、どのような労働者に対しても経営者は「労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩」を与えなければいけません。

しかしサロンによっては、十分な休憩が取れていない職場もあります。

そういった休憩時間の取れない労働環境を改善したいのであれば、次に示す方法を検討してみてください。

美容師の休憩時間を確保するには?改善方法5つを紹介

美容師の休憩時間を見直すには?現場の課題と改善策を解説

「実態としては休憩時間が取れないサロンもある」と言われても、ちゃんと休憩時間を取って働きたいと思うのは当然のことです。

ここでは、十分な休憩時間を取るための改善方法を5つお伝えします。

①勤務体制が整ったサロンへ移る
②フリーランスになる
③独立開業する
④訪問美容師になる
⑤美容師のスキルを活かして転職する

①勤務体制が整ったサロンへ移る

改善方法のひとつは、スタッフの労働環境を整える意識のある職場へ移ることです。

「休憩時間が取れないサロンがある」とはいっても、すべてのサロンがそうというわけではありません。

求人情報、口コミ、面接などを通して「美容師の労働環境を良くしようとしているサロン」を探し、そこへ移るのがもっともストレートな改善方法となるでしょう。

その際、休暇制度、育休・産休制度など、「休み」に関する制度の充実度合いも判断基準となります。

②フリーランスになる

休憩時間を確保する方法として「フリーランスで働く」という選択肢もあります。

フリーランスで働くメリットとしては、主に以下の4つが挙げられます。

・自由な働き方を実現できる
・ワークライフバランスが取りやすい
・ある程度以上、自分がやりたい仕事ができる
・将来的な収入アップが見込める

上記のメリットだけを見ると、フリーランスという働き方がとても良いもののように思えますが、もちろん大変なこともあります。

例えば

・知名度がない状態で始めると、お客様が来ない
・最初の集客がかなり大変
・リピーターのお客様が増えるまで、収入がなかなか安定しない
・SNS集客やWeb集客に詳しくなる必要がある

など、フリーランスという働き方には、上記のような大変なことがあります。

大変なこととメリットを天秤にかけて、メリットが勝つようであれば、フリーランスという働き方も検討の余地があるかもしれません。

フリーランス美容師については、以下コラムでも詳しく述べていますのでご覧ください。

フリーランス美容師の集客方法7つ|成功するために押さえたいポイント

③独立開業する

「営業時間や休日などを、自分で設定できるようになりたい」という思いがある方は、美容室を開業して独立する、という対処法もあります。

ただ開業する場合、十分なスキルや経験が必要になってくるので「美容師として働き始めてまだ日が浅い」という方は、まずはしっかりとスキルと経験を身につけたほうがよいでしょう。

また美容師としてのスキルや経験が十分にあっても、独立して開業するためには資金経営の知識なども必要になります。

一般的に、美容室を開業する場合、1,000万円〜1,200万円の開業資金が必要になるといわれます。

開業して美容室オーナーとなる場合、上記のようなお金の調達、経営における収入と支出のバランスなども考えていかなければなりません。

オーナーとなれば、営業日、休日、休憩時間などは自分で決められますが、経営的な大変さを担う必要はあるでしょう。

より詳しい開業資金の詳細や、開業資金の抑え方については、以下コラムで解説していますので、よければぜひご覧ください。

美容室の開業資金はいくら必要?資金の内訳や調達方法、費用の抑え方

④訪問美容師になる

美容師の休憩時間を見直すには?現場の課題と改善策を解説

美容師には「サロンで働く」という選択肢の他に「訪問美容で働く」という選択肢もあります。

訪問美容とは、高齢や病気などで自力で外出が難しい方の自宅・施設に訪問してカット・カラーなどを行うお仕事です。

美容室での仕事と違い、予約の入っている時間にお客様の自宅や施設を訪問し、施術する働き方になります。

そのため美容室で働くよりも拘束時間は少なく、休憩時間の取りやすい働き方といえるでしょう。

また、お客様に高齢の方が多いので、その点でも通常の美容室業務との違いがあります。

「上記のような条件が自分に合いそうだ」「拘束時間が短いのは自分にとって魅力的だ」と思う方はぜひ、訪問美容師を選択肢のひとつにしてみるとよいでしょう。

訪問美容師についてさらに詳しくは、以下の記事に記載されています。

<関連記事>
知っておきたい訪問美容師のメリット・デメリット| 収入の話や活動の始め方も解説

訪問美容師の給料はどのくらい?サロンワークとの比較や給料アップの方法も

アシスタントからでも訪問美容師になれる?具体的な方法・訪問美容の始め方を解説

⑤美容師のスキルを活かして転職する

サロンでは休憩時間を確保することが難しいのであれば、美容師のスキルを活かせる別業種に転職するのもひとつの方法です。

美容師のスキルを活かせる職種には、以下のようなものがあります。

・アイリスト
・ネイリスト、エステティシャン
・美容メーカー
・ブライダル
・アパレル

それぞれ、美容師のスキルや知識を活かしながら、美容師とは異なる働き方をすることができます。

関心ある職種があれば、労働環境などを確認し、あなたに合った場所がないか探してみましょう。

参考:
美容師を辞めたい!辞めるときのポイント4つ、その後のキャリアステップ

まとめ

ここまで、美容師の休憩時間について、法律や実態、取れない理由、改善策までを解説してきました。

休憩時間をちゃんと取りたい、と思うのは当然のことです。
あなたに合った労働環境を見つけるために、ここで紹介した改善方法をぜひ検討してみてください。

また、記事中で紹介した「訪問美容師」について、当サイト「GOCHOKI」では、訪問美容師になりたい方に役立つ内容の記事を多数掲載しています。

訪問美容に興味がある美容師さんは、ぜひ参考にしてください。

→ 訪問美容「GOCHOKI」のお役立ちコラム