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遠方に住んでいる親を介護する方法は?遠距離介護の始め方や利用できるサービスを解説

2025.05.29

遠方に住んでいる親を介護する方法は?遠距離介護の始め方や利用できるサービスを解説

「親が遠方に住んでいて、介護が必要になったときどうすればいいのか分からない」
「親のもとに引っ越したり、親を呼び寄せたりせずに介護することは可能なのだろうか」

高齢の親を持つ方の多くが、上記のような悩みを持っているでしょう。
また、介護に関する経済的な負担や心理的な負担に不安を覚えている方も多いかもしれません。

結論から言いますと、要介護度にもよりますが、親を遠方から介護することは可能です。

ここでは、遠距離介護のメリットや、遠距離介護が勧められるケース、介護の際に利用できるサービスについて解説します。

また、遠距離介護の注意点も合わせてお伝えしますので、あなたの状況を踏まえてぜひ参考にしてみてください。

遠方の親を介護できるのか?

遠方に住んでいる親を介護する方法は?遠距離介護の始め方や利用できるサービスを解説

要介護度があまり高くない間、親を遠方から介護することは可能です。

遠方から介護をすることは、自宅で介護をする「在宅介護」や老人ホームに入所する「施設介護」のように、介護の選択肢のひとつとなります。

親の要介護度や介護者の状況、経済状況などによって最適な選択肢は異なるので、あなたの状況を考慮しながら、遠距離介護、在宅介護、施設介護を検討していく必要があります。

遠距離介護について

遠方から親を介護することを「遠距離介護」と呼ぶことがあります。

「親の住んでいる地域に引っ越す」「親を呼び寄せる」以外の選択肢である遠距離介護では、介護者も親も、これまでの生活を大きく変える必要がありません。

環境の変化が少なく、これまでの人間関係や習慣を保つことができる点は、遠距離介護の利点といえるでしょう。

しかし、遠距離介護を選んだ場合、介護者は頻繁に親のもとに通う必要が出てきます。
ですので、交通費、移動時間などの負担は大きくなります。

遠距離介護が勧められるケース

以下のような状況であれば、遠距離介護を積極的に考えるとよいでしょう。

・親に認知症がない、もしくは症状が軽い
・両親が揃っていて、同じ家、地域に住んでおり助け合える
・親が住んでいる地域の行政サービス、介護サービスが充実している

など

現代では遠距離介護を可能にするものとして、在宅介護サービスなどの訪問型支援や訪問美容などがあります。

遠距離介護の際に利用できるサービスについては後述します。

またできるだけ穏やかに介護生活に移行していくためには、親御さんが元気な間にコミュニケーションを取っておくことが大切です。

あらかじめ、介護が始まったときの希望や普段の生活リズム、経済状況などを聞き取っておくことで、遠距離介護の方針が立てやすくなります。

また、実際に介護が必要になったら地域包括支援センターなどを訪れ、介護サービスの利用相談をしましょう。

参考:
介護が始まったらやるべきことは?介護保険サービスの申請、相談窓口、費用について解説

遠方から親を介護する遠距離介護のメリット3つ

遠方に住んでいる親を介護する方法は?遠距離介護の始め方や利用できるサービスを解説

遠距離介護のメリットを3つお伝えします。

①人間関係や習慣などを変えず、それまでの生活を続けていける
②介護保険サービスが利用しやすい
③介護のオン・オフがしやすい

①人間関係や習慣などを変えず、それまでの生活を続けていける

遠距離介護をすることで、親も介護者も住み慣れた地域での生活を続けていくことができます。
人にとって、住む場所を変えるというのは非常に大きな変化であり、ストレスのかかることです。

「長年住んできた地域で暮らす安心感がある」「以前から繋がりのある人間関係がある」ということは介護の際にもプラスに働くでしょう。

②介護保険サービスが利用しやすい

高齢者の一人暮らしや、高齢者のみの世帯は、若い人と同居している高齢者に比べて介護保険サービスが利用しやすくなります。

また、要介護度が高くなったときには、特別養護老人ホームなどの施設への入所も少し優先度が高くなります。

③介護のオン・オフがしやすい

遠距離介護は在宅介護よりも親と会う頻度が少なくなります。

介護のオン・オフを切り替えられることで、気持ちの余裕を持って、親に優しく接することができるでしょう。

在宅介護のように毎日顔を合わせて介護をしていては心理的な負担も大きいですが、遠距離介護をすることで心理的負担を少し減らすことができます。

遠方から親を介護する遠距離介護の注意点3つ

遠方に住んでいる親を介護する方法は?遠距離介護の始め方や利用できるサービスを解説

一方で、遠距離介護には注意点もあります。
ここで、遠距離介護の注意点を3つお伝えします。

①緊急時の対応が難しい
②交通費、通信費が高くなる
③親元への往復で、介護者の時間的負担が大きい

①緊急時の対応が難しい

遠距離介護では親の容態が急変したり、何か不慮の事態が起こったりしたとき、すぐに対応することが難しくなります。

また、介護者が頻繁に親の状態を確認することができないので、訪問介護のスタッフや地域の人に見守りの協力をお願いする必要があります。

②交通費、通信費が高くなる

遠距離介護であっても、以前よりも頻繁に親元に行く必要があるので、交通費が高くなります。

また介護の見守りとして、電話などでの連絡も以前より多くなるので、通信費も少し高くなることが考えられるでしょう。

③親元への往復で、介護者の時間的負担が大きい

親の住まいが介護者の自宅から遠い場合、移動時間が負担になる可能性が考えられます。

定期的な訪問に加えて、「今から親のもとに行かなければならない」という緊急事態も発生しうるので、遠距離介護を検討する際には自宅から親元までの移動時間も考慮に入れたほうがよいでしょう。

また、「介護のために休みを取らないといけない」「仕事を急遽休まなければならない」という状況も十分考えられます。

遠距離介護で利用可能なサービス

遠方に住んでいる親を介護する方法は?遠距離介護の始め方や利用できるサービスを解説

介護が始まったらまず、親の家の最寄りにある地域包括支援センターに連絡を取り、介護保険の申請を行う必要があります。

「介護が必要」と判断されたら、どのような介護サービスを利用するのかという計画を、地域包括支援センターのケアマネージャーと一緒に立てていくことになります。

参考:
介護が始まったらやるべきことは?介護保険サービスの申請、相談窓口、費用について解説

ここでは、介護保険内の利用可能なサービスに加えて、介護保険外のサービスについても解説します。

訪問介護、訪問看護|介護保険内のサービス

遠距離介護では、自宅に訪問してくれる「訪問介護」を主に利用することになるでしょう。

自宅に訪問してくれる介護サービスには以下のようなものがあり、訪問介護員(ホームヘルパー)や看護師が担当してくれます。

・訪問介護(ホームヘルプ)
・訪問入浴
・訪問看護
・訪問リハビリ
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回・臨時対応型訪問介護看護

参考:
厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム」

介護保険サービスの中で「訪問◯◯」と名前のつくものは、その名の通り自宅まで訪問して介護を行ってくれます。

そのサービス内容は主に、食事、排泄、入浴などの身体介護、掃除、洗濯、買い物、調理などの生活援助です。

訪問看護では、その人の疾患に合わせた対応を訪問看護師が行ってくれます。

またもちろん、介護の報告をしてもらうことができるので、親が元気に暮らしているか確認するための見守りとしても利用することができます。

住宅の介護リフォーム|介護保険内のサービス

要介護認定を受けていれば、介護リフォームのための住宅改修費の助成を受けることができます。

介護が始まると、部屋に手すりをつけるなどの改修が必要になるケースが少なくありません。
その際、助成を受けることで経済的負担を減らすことができます。

介護保険法にもとづく住宅改修費の支給(厚労省)

介護保険においては、要支援及び要介護の認定を受けた方の一定の住宅改修(段差の解消や手すりの設置等)に対し、20万円まで(所得に応じて1割から3割自己負担)支給します。
詳しくは、お住まいの市区町村にお問い合わせください。

引用:厚生労働省「住宅リフォームの支援制度 ※令和6年5月2日時点」

訪問美容|介護保険外のサービス

遠方に住んでいる親を介護する方法は?遠距離介護の始め方や利用できるサービスを解説

「訪問美容」とは、認知症や歩行困難などで美容室に足を運ぶことが難しい方のところに、プロの美容師が訪問して散髪を行うサービスです。

訪問美容では、主に以下のようなサービスを受けることができます。

<訪問美容メニュー>
・カット
・ブロー
・シャンプー
・お顔のお手入れ
・パーマ
・白髪染め、カラー
・トリートメント

こういった介護保険外の介護サービスも合わせて利用することで、親の快適な生活をサポートすることができます。

訪問美容サービスの内容について知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

→ 【訪問美容】介護が必要な方向けの散髪サービス|利用料金、使い方

見守りサービス|介護保険外のサービス

自治体の安否確認サービス、郵便局による見守りサービス、企業による見守りサービスなど、いろいろな種類があります。

各地域でサービスの内容は多岐に渡るので、親が住んでいる地域の市区町村窓口に問い合わせてみましょう。

ICT機器

ICT機器とは、最近の家電製品などについている機能で「親が普段通りの日常を過ごしているか」知らせてくれるものです。

例えば、部屋のライトや電子レンジ、洗濯機などが使用された時刻をアプリやメールの通知でお知らせしてくれます。

「夜になってもライトがつけられていない」「丸1日以上家電が使用されていない」などの場合には訪問するなど、見守りとして機能します。

まとめ

ここまで、遠距離介護のメリットや注意点、遠距離介護が勧められるケース、介護の際に利用できるサービスについて解説しました。

介護では、この記事で紹介した訪問介護や訪問美容など、さまざまなサービスが利用できます。

介護をひとりで抱え込まず、地域包括支援センター、介護スタッフ、地域の人と協力しながら、遠距離介護を行っていきましょう。

当サイト「GOCHOKI」では、介護サービスのひとつとしてご紹介した「訪問美容」に関する内容の記事を多数掲載しています。

訪問美容に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

→ 訪問美容「GOCHOKI」のお役立ちコラム