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訪問美容の契約書を徹底解説!トラブルを回避するためのポイントも

2022.12.01

女性の美容師

これから訪問美容師として開業する方は、顧客と交わす契約書を用意しておく必要があります。後々起こり得るトラブルを回避するために、契約時にはさまざまな取決めを交わすのです。

契約書を準備するにあたり、

  • 「契約書の作成で気を付けるべきポイントは?」
  • 「契約書に盛り込んでおいたほうが良い内容は?」
  • 「どのような顧客だと契約書が必要なの?」

など、次から次へと疑問点が出てくる方もいるでしょう。

この記事では、訪問美容で契約書が必要なケースと契約内容を決める際に気をつけたいポイント、契約書に入れておきたい項目などを解説します。

これから独立予定の方だけでなく、すでに訪問美容の事業をしている方も、契約先とのトラブルを回避したい方や契約書に関して気になることがある方は参考にしてください。

訪問美容で契約書が必要なケース

契約書

まずは、訪問美容でどのようなケースに契約書が必要なのかを確認していきましょう。

施設や病院との契約の際は契約書を交わす

施設や病院と訪問美容の契約をする場合は、契約書を交わす必要があります。

契約時にはさまざまな事項を検討して記録しておかないと、後々トラブルに発展する可能性があるからです。契約の条件に関して話し合う場を設け、契約内容を取決める必要があります。

契約書を交わす前に、契約内容を綿密に決めておかないと、あとになってから疑問点や確認事項があった場合はその都度確認が必要です。

また、事前に話し合ったとしても契約書に記載しなければ口約束になってしまいます。

トラブルが起きるのを防ぐためにも、契約する時点で契約内容や起こる可能性のある事態について一つひとつ詳細に話し合い、契約書に記載しておく必要があるのです。

個人宅への訪問は施術同意書が一般的

病院や施設との契約時には契約書を交わす必要がありますが、個人宅への訪問で契約書は必要ないのでしょうか?

結論から言うと、個人宅に訪問美容をする際は、施術同意書を用意するのが一般的です。トラブルを回避するためにも、施術同意書には顧客に同意しておいて欲しい点を記載しましょう。

施術同意書は、「必要事項を記載してサインをもらうだけ」という形式的なものではなく、顧客に内容を正しく理解してもらうことが大切です。施術同意書の内容を丁寧に説明し、理解していただいたうえで訪問時にサインをもらいましょう。

ただし、個人宅への訪問美容でも、特定商取引法の訪問販売に該当するとみなされる場合は契約書を作成しなければいけません。特定商取引とは、事業者による悪質な勧誘行為などを防止し、消費者を守るための法律のことです。

事業者が消費者の自宅などを訪問してサービス内容や料金体系を説明し、契約を交わすというケースは、特定商取引の訪問販売に該当します。

基本的に、訪問美容ではお客様から利用申込の連絡があり、料金やサービス内容を理解したうえで予約を入れます。この時点でサービス提供に関する契約が成立したとみなされるのが一般的なので、特定商取引の訪問取引には該当しないと考えられます。

しかし仮に、電話での申し込みは予約であり、訪問先で料金の説明などをして、その場で契約が成立したとみなされる場合は、特定商取引法に該当すると考えられます。そのため、特定商取引法が定める事項を記載した契約書を作成しなければいけません。

参考:特定商取引ガイド|消費者庁

訪問美容の契約内容を話し合うときに気をつけたいポイント

シニア女性をカットする女性美容師

病院や施設と契約を交わす際に、契約内容を話し合う場で気をつけたいポイントを3つ紹介します。

  • トラブルを回避するために契約内容を詳細に決めておく
  • 条件の交渉は相手の要望を聞きつつ提案することが大切
  • 話し合った内容は契約書に記載する

トラブルを回避するために契約内容を詳細に決めておく

契約内容に関して、料金や訪問日などの事項の検討は必須です。しかし、「料金は税抜か税込か」「訪問美容に使う道具はどちらが用意するのか」など、細かな取決めに関しては漏れてしまうことがあるかもしれません。

しかし、後々発生し得る事態や疑問に関して、契約内容を話し合う段階で詳細に決めておけば、スムーズに業務を遂行できるだけでなくトラブルを回避するのにも役立ちます。

「このような状況になったとしたらどう対応する?」というように想像をめぐらし、事前に確認しておくことがトラブルを回避するためには大切です。具体的に入れるべき項目については、後述します。

条件の交渉は相手の要望を聞きつつ提案することが大切

契約内容の話し合いの場では、互いの要望をぶつけ合うだけでは良い方向に進まないもの。契約の条件を決める話し合いの際は、相手の状況や要望を聞きつつも、提案していく姿勢が大切です。

双方にとってより良い方向に話を進めるためのポイントは、相手の状況や要望をより詳細に聞き出すことです。

入浴や食事の時間帯、介助が必要な方はどれくらいいるのか、施術するうえで注意が必要な患者さんはいるかなど、詳細に聞き出しましょう。

ヒアリングを通して相手の状況を把握、理解しながら、できることを提案し、料金やサービス内容などを提案していけば、互いに納得感を持って話を進めていけるはずです。

また、相手の話をさえぎったり、提案内容を長々と話したりすると、悪い印象を持たれる可能性があるため、聞き方や話し方にも留意しましょう。

話し合った内容は契約書に記載する

契約内容を決める話し合いの場でどんなに詳細に約束事を決めたとしても、契約書に記載しなければ口約束と同じになってしまいます。

「言ったはずだ、いや聞いていない」というトラブルを回避するためにも、話し合った内容は漏れなく契約書に記載しておきましょう。

特に、後述する「訪問美容の契約書に載せておくべき内容」に関しては契約書に記載するのが漏れがちなので、特に気をつけてください。

一般的に訪問美容の契約書に入れておくべき項目

チェックリスト

契約書の内容は、業種や職種によって盛り込んでおきたい項目は異なりますが、訪問美容の契約で一般的に確認しておきたい取決めは、次のとおりです。

  • ・契約の目的
  • ・業務委託の内容
  • ・施術料金
  • ・支払方法
  • ・訪問日程
  • ・訪問日程を変更する際の連絡期限
  • ・契約の解除に関する内容
  • ・有効期間
  • ・損害賠償に関する内容

しかし、契約書の内容は個別の事情に合致していなければ意味をなしません。施設や病院、または美容師側の事情に応じて適宜内容を変える必要があるでしょう。

また、個別の事情を盛り込んだ契約書だとしても、場合によっては違法な内容が含まれている可能性も否めません。契約書の内容は、リーガルチェックを受けたり、弁護士と相談したりしながら作成しましょう。

さらに、自治体によって訪問美容に関する取決めや衛生管理の内容が異なることがあります。事前に訪問美容をする地域の決まりを把握しておくことも大切です。

→ 訪問美容における「衛生管理要領」を分かりやすくまとめてみた|美容室との違いはあるのか

忘れがち!だけど訪問美容の契約書に載せておきたい内容

続いて、契約書に盛り込むのを忘れがちですが、確認しておきたいポイントをいくつか紹介します。ただし、病院や施設の状況によっても異なるので、一つの参考として留めておいてください。

訪問美容の契約書に載せておきたい項目は、次のとおりです。

  • ・税込・税抜を明記する
  • ・振込手数料を負担する側を決めておく
  • ・訪問美容に必要な道具はどちらが用意するか

特に、お金に関する取決めは些細な点も必ず確認しておきましょう例えば、取決めた料金が税込なのか税抜なのかという内容です。未確認のまま契約してしまうと、後々トラブルに発展する可能性があります。

また、支払い方法が振込の場合、振込手数料はどちらが負担するのか確認しておくことも大切です。「こんなはずではなかった」「こう話したはず」という事態にならないためにも、事前に必ず確認しておきましょう。

さらに、訪問美容に必要な道具に関して、施術に必要な道具は美容師が持参しますが、椅子やベッド、施術場所を掃除する道具などは、場合によっては施設側が用意する場合があります。施術に使う道具はどちらが用意するのかに関しても事前に決めておくとスムーズです。

まとめ

美容師

訪問美容では、病院や施設との契約の際に契約書を取り交わすのが一般的です。契約内容を決める際は、双方が納得して話し合いを進めていくために、ヒアリングを大切にしながら提案していく姿勢が大切です。

契約内容に関しては、後々トラブルにならないように事前に細かいことも決めておく必要があります。病院や施設、また美容師側の事情を考慮して、必要な事項を話し合いましょう。

当サイト「GOCHOKI」では、訪問美容師の方に役立つ情報を発信しています。これから独立予定の方や、すでに訪問美容師として活躍されている方は、ぜひ参考にしてください。