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訪問美容師のリアルな失敗体験談7つ│それぞれの対処法も紹介

2022.07.25

落ち込む女性

「訪問美容師を目指しているけれど、気を付けるべき失敗例としてどういったものがあるの?」
「訪問美容をはじめたものの、ミス続きで自信を失っている。(改善策を知りたい・皆と悩みを共有したい)」

通常のサロンワークと特性の異なる「訪問美容」だからこそ、予期せぬ失敗が発生し、落ち込んだり自信を無くしたりする美容師さんも少なくありません。

この記事では「訪問美容でよくある7つの失敗例」をテーマに、実際にあった失敗エピソードについて訪問美容師さんの声をご紹介します。

・事前に失敗例をみておくことで、予防・対策をしたい。
・失敗例をみて共感したい
・失敗例それぞれの対処法を知りたい。

そんな方は、ぜひご一読いただければ幸いです。

訪問美容師さんによくある失敗例 7選

落ち込む美容師

訪問美容師の仕事には、一般のサロンワークでは遭遇しない「訪問美容ならではの困難」が数多く存在します。

訪問美容の仕事でやってしまいがちな「7つの失敗例」について、対処法も含めご紹介します。

1.お客様にツラい体勢を長時間強いてしまった
2.襟足に切り残しをしてしまった
3.スピード感についていけず、他の美容師に迷惑をかけた
4.認知症のお客様をハサミで傷つけてしまった
5.ご本人とご家族(もしくは介護職員さん)との板挟みになってしまった
6.準備や段取りに手間取ってしまった
7.必要な道具を忘れてしまった

 

1.お客様にツラい体勢を長時間強いてしまった

よくある失敗例1つ目は、長時間お客様につらい姿勢を取らせてしまうことです。

訪問美容のお客様は高齢の方や身体に不自由のある方が多いため「長い時間、同じ姿勢でいることが難しい」場合が少なくありません。

 

【失敗談】

何度目かの施設訪問のとき、長い間椅子に座っておくのが困難というお客様を担当。ヘルパーさんからは「10分以内で仕上げてほしい」といわれ、まだ仕事に慣れてなかったこともあり、かなりテンパってしまいました。

「お体大丈夫ですか」と声をかけながら施術したものの、時間を少しはみ出してしまい、後半はお客さんも少し辛そうなお顔をされていたように思います。

訪問美容の世界では「じっくり、丁寧にカットするだけが正解ではない」ことを学びました。

(30代 女性美容師)

 

【対処法】

改善方法として、まずお客様の容態や気分にあわせて「スピーディーな施術もできる技術力」を身に付けることが重要です。

また事前にお客様の体の状態(どのくらい座った状態でいられるか、寝たきりの状態か等)を確認し、当日どう対処するかをあらかじめ検討してから訪問しましょう。

 

2.襟足に切り残しをしてしまった

よくある失敗例2つ目は「襟足の切り残し」をしてしまうことです。

これは椅子に座ることが難しく「ベッドに寝たきり」のお客様を施術する際、やってしまいがちな失敗です。寝たきりのお客様の場合、上体を起こしたり身体を動かしたりが難しいため、通常通り後頭部や襟足部分をカットすることはできません。

襟足部分は死角になりやすく目視しづらいため、慣れるまでは特に切り残しが発生しやすい部位になります。

 

【失敗談】

訪問美容をはじめて半年くらいのころ、寝たきりのお客様をカットしたとき、襟足を切り残してしまった経験があります。今であれば小型のバリカンを使うのですが、当時はハサミですべてカットしており、見えない襟足部分を施術するのはとても緊張しました。。

寝たきりのお客様に不慣れだったことや、無理な体勢を長時間強いてしまうことにも抵抗があり、どこか焦りを感じながら早々に作業を終えてしまいました。結果的に後日、担当のヘルパーさんから「襟足の髪が不自然に残ってて」と電話があり、すぐにお直ししに向かいました。

(30代 男性美容師)

 

【対処法】

せっかく依頼してくださったお客様に切り残しをしてしまうのは、美容師としても心苦しいものです。

改善方法としては、寝たきりの方の首元や襟足でもカットしやすい「ヘッド部分が回転する小型のバリカン」を購入するのがおすすめです。

 

 

また可能であれば家族や友人などに協力してもらい「ベッドへ横になった状態でのカット」を練習しておくと、本番も焦らず施術に臨みやすくなるでしょう。

 

3.スピード感についていけず、他の美容師に迷惑をかけた

失敗例3つ目は、短い時間でたくさんのお客様を担当しなければならないとき、スピード感についていけず迷惑をかけてしまったというものです。

とくに訪問美容の経験が浅いタイミングで、施設にて数十名のお客様を一度に対応する際などは、はじめての経験に苦労する美容師さんも少なくありません。

 

【失敗談】

はじめての施設訪問では、とにかくその回転率の早さに驚きました。自分を含め4名の美容師で訪問したのですが、1名のお客様にかけられる時間は約10分ほどで、長引けばその分、ほかのお客様を待たせてしまうことに。

緊張したり意思疎通が上手くいかなかったりで思い通りにお客様をさばけず、最終的には先輩の美容師さんに助けていただくことになりました。もっと場数を踏みたいなとおもった瞬間です。

(40代 女性美容師)

 

【対処法】

訪問美容の施設訪問などでは、サロン業務ではあまり経験することのない「短時間でより多くのお客様を施術しなければならない」というシーンが存在します。

対処するためにはスピーディーさが求められる現場をとにかくたくさん経験し、対応できるスキルや度胸を身に付けることが必要となります。

 

 

4.認知症のお客様をハサミで傷つけてしまった

カットバサミ

失敗例4つ目は、施術中に動いてしまうお客様に、誤ってケガをさせてしまったケースです。

とくに認知症などで無意識に暴れてしまうお客様の場合、動いた拍子にハサミが当たったり、液剤が散ってしまったりというトラブルが発生しやすくなります。

 

【失敗談】

80歳・認知症の女性をご自宅でカットしたときのことです。カット中、ふいに首を左右へ振るような動作をされ、誤ってお客様の耳をハサミで切ってしまいました。

このときは慌ててティッシュで止血し、幸いにも傷は深くなく、側にいらっしゃった娘さんも「大丈夫ですよ」と言ってくださったのですが。。その日は施術料をいただかず、ご自宅を後にしました。

美容師として不甲斐ない、申し訳ないという気持ちでいっぱいでした。

(50代 女性美容師)

 

【対処法】

意思疎通の難しいお客様や身体が弱いお客様が多い分、訪問美容は通常のサロン業に比べ「お客様にケガ・身体的な負担」をかけてしまいやすい環境です。

細心の注意を払って業務に臨むことはもちろん、事前にお客様の容態をよく確認しておく・本人のご家族にサポートしてもらう等の方法で、リスクを最小限に抑える努力が大切です。

また万一に備えて、美容サロン全般に適用される「損害保険」へ加入しておくことも重要でしょう。仮に損害賠償の支払いが発生した場合も、保険が適用されるため安心です。

 

5.ご本人とご家族(もしくは介護職員さん)との板挟みになってしまった

失敗例5つ目は、ご本人の希望と付き添いの方(ご家族やヘルパーさん)との希望が異なり、両者の間で板挟みになってしまうケースです。

見た目を大切にしたいご本人と、実際に洗髪や介護をする付き添いの方とで、髪の長さや仕上がりの要望が食い違うことは少なくありません。

 

【失敗談】

施設に訪問した際、90歳の女性を担当させていただき、担当の介護職員さんからは「1か月ほど切れないので、思い切り短くカットしてほしい。襟足はバリカンで刈り上げてほしい」と言われました。

しかしご本人的には短すぎる髪型が嫌だったらしく、あまり言葉は口にされませんでしたが、終始嫌そうなお顔をしていて、どちらの意見を優先するかでとても悩みました。

最終的にヘルパーさんの希望よりも「やや長め」のスタイルに落ち着き、お客様には「短くなりすぎないよう切るから安心してくださいね」と、声をかけながらカットいたしました。お客様も最後には満足そうな反応をしてくださったので良かったです。

(40代 女性美容師)

 

【対処法】

当人とご家族、もしくはヘルパーさんとの間で意見が割れてしまったとき、どちらを優先すべきかは難しい問題です。

なるべくご本人の気持ちを蔑(ないがし)ろにしないよう、両者の希望を汲み取った施術ができればベストです。

 

6.準備や段取りに手間取ってしまった

失敗例6つ目は、事前準備や後片付けに、想像以上に手間取ってしまうケースです。

はじめてのご自宅に荷物を運び入れ、シートを養生し、道具をセッティングする……慣れないうちの「訪問美容の準備作業」は、想像以上に難しく時間がかかるものです。

 

【失敗談】

まだ訪問美容師として経験が浅かった頃、準備や片付けの段取りに慣れておらず、すごく焦ったことがありました。

カットとカラーで2時間くらいを見込んでいたものの、いざ現場につくと「セッティングだけで20分くらいかかる」「施術後の掃除にも時間がかかる」などで、気づけば予定時刻を軽く30分以上オーバーすることに。

予定時間に終えられなかったことでお客様にもご迷惑をかけてしまいましたし、その後の仕事にも遅刻するところでした。それ以降は実際の施術時間+1時間は余裕をもって、スケジュールを立てるようにしています。

(30代 男性美容師)

 

【対処法】

対策として、あらかじめ自宅で「訪問~作業開始~片付け」までのシミュレーションを繰り返しおこなうことが考えられます。

準備や片付けの手順をあらかじめ頭に入れておくことで、本番も焦らず着実に作業を進めることができるでしょう。可能であればシートを養生する、椅子や鏡をセッティングするなど、本番通りに手を動かして作業してみるのがおすすめです。

 

7.必要な道具を忘れてしまった

失敗例7つ目は、訪問先に必要な道具を忘れてしまうというケースです。

サロン業では使用しない道具も多いため、きちんと管理していなければ、つい持参し忘れてしまうことも訪問美容では少なくありません。

またサロン業と道具を併用している場合も「サロンに置きっぱなし」「違うカバンに入れっぱなし」といったミスが起こりやすいため注意が必要です。

 

【失敗談】

今では回数もかなり減りましたが、以前は忘れ物をしてしまうことが度々ありました。

何度か忘れてしまったのが「カットクロス」で、その際は持参したビニール袋で代用することが多かったです。またドライヤーを忘れてしまった際には、謝罪してお客様のおうちで借りたこともありました。

また一度、カラー剤を忘れてしまったことがあり、そのときは自宅に薬を取りに戻らなければならず、お客様に開始を30分遅らせていただきました。

 

訪問美容では1つの忘れ物が命取りなので、お客様に迷惑をおかけしないためにも、日頃から持ち物の管理を徹底することが大切だと思います。

(40代 女性美容師)

 

【対処法】

訪問美容の仕事をしていれば、誰でも一度は「つい忘れ物をしてしまった」という経験があるのではないでしょうか。

対策として「訪問美容の持ち物リスト」を作成し、出勤前に必ず内容を確認することが効果的です。

また訪問時に使用するバッグを固定化し、道具は基本そこから出さない(仕事が増えてきたら、サロン業と道具を併用しない)方法も、忘れ物を防止する上でおすすめです。

 

以上、訪問美容師さんにありがちな「7つの失敗例」でした。

 

訪問美容師が失敗を減らすために意識したい、3つの心構え

どんな仕事でも失敗はつきものですが、利用者さんの健康や身体に関わる仕事だからこそ、なるべく失敗を軽減したいという訪問美容師さんは多いはずです。

長い目で見れば「たくさんの経験を積む」ことで失敗を減らしていくことが可能ですが、ちょっとした日々の心がけや対策で、現時点から失敗の回数や程度を軽減することができます。

普段から意識して実践してほしい、失敗を減らすための3つの心構えをお話しします。

 

1.一度やったミスを繰り返さない・対処法をすぐ検討する

対策の1つ目は「一度ミスをしてしまったら、すぐに改善策をうつ・対処する努力をする」ということです。

訪問美容の仕事を始めたばかりであれば、きっと毎回の訪問時に「もっとこうすべきだった」という反省が見つかるでしょう。

このとき大切なのが、反省をそのままにせず「次回、繰り返さないために、どんな対処ができるか」まで、その日のうちにセットで考えるということです。

例えば

・「忘れ物をしてしまった」のであれば、早急に「持参リスト」を作成し、毎回訪問前に中身をチェックする習慣をつける

・「寝たきりのお客様をうまくカットできなかった」のであれば、経験のある訪問美容師に相談する・YouTubeなど動画で勉強する・マネキンを使ったり、知り合いにカットモデルを依頼したりして練習する

 

といった具合です。

 

訪問美容師として長期的に活躍するために、早い段階でミスを経験しておくことは重要です。そのたびに解決策を考えることで、訪問美容師としての知識やスキルを磨いていきましょう。

 

2.相談できる訪問美容師の仲間をつくる

訪問美容とサロン業の両立

2つ目の対策は、気軽に訪問美容業の不安や悩みを打ち明けられる、同業の仲間をつくることです。

サロンワークと違い「孤独」を感じやすい訪問美容の仕事ですが、気軽な相談相手をつくることで、仕事の悩みを1人で抱え込む負担を軽減できるでしょう。

すでに訪問美容師として実績のある方と繋がれば、業務の進め方や仕事のミスについて、自分では思いつかないような改善方法を提案してもらえるかもしれません。

仮に同業の知り合いがいない場合も、今はネット上やSNSで気軽に繋がることができる時代です。ぜひ積極的に「訪問美容の仕事」について、相談したり情報を共有しあったりできる仲間を見つけてほしいなと思います。

 

3.「最初は失敗して当然」とにかく数を経験する

3つ目の対策は、シンプルですがとにかく場数を踏んで「経験値」を増やすことです。

現在、活躍している訪問美容師さんも、最初はみな勝手がわからず、つらい思いや悔しい経験を乗り越えてきた方が大半です。

それでも現在まで活動を継続できているのは、結果が出るまであきらめず、コツコツと訪問美容の仕事に取り組み続けた努力の賜物でしょう。

 

活動はじめから「完璧に業務をこなさなければならない」と思い詰めるのではなく「最初はわからないことがあって当然」という気持ちで、まずは獲得できた仕事を1つずつ丁寧にこなしていくことが前進の近道です。

緊張や申し訳なさで訪問に悩むこともあるかもしれませんが、まずは「仕事を継続すること」を目標に、とにかく幅広い現場で多様なお客様の施術を経験して欲しいと思います。

 

まとめ

自宅で施術をうける、車イスのマダム

訪問美容でありがちな失敗」をテーマに、実際の訪問美容師さんの声をご紹介しました。

これから訪問美容をはじめるという方も、すでにある程度の経験があるという方も、失敗を恐れず前向きに活動を継続して欲しいなと思います。

また失敗してしまった際も自分を責めすぎず、次回以降の成長材料として前向きに活用していきましょう。

「GOCHOKI」では今回のような、訪問美容師さんに読んで欲しい「ノウハウ」コラムを数多く掲載しております。

「これから訪問美容師として活躍したい」方はもちろん、すでに業務をはじめたものの「いまいち仕事が軌道に乗らない」という美容師さんまで、ぜひ覗いていただければ幸いです。

→訪問美容「GOCHOKI」のお役立ちコラム